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我々の脳内には数百億ものニューロンが存在し、それらがシナプスを通じて複雑な神経回路を形成することで学習・記憶・認知といったいわゆる脳の高次機能を発揮します。シナプスの出力側「プレシナプス」には直径40ナノメートル程の袋状の膜構造「シナプス小胞」が存在し、その中に神経伝達物質と呼ばれるシグナル物質が蓄えられています。プレシナプスに電気的な信号が伝わると、シナプス小胞の膜が細胞表面の膜と融合することにより、神経伝達物質が細胞外に放出され、隣接したニューロンの受容体に働きかけることによってシグナルが伝わるのです。この30年に亘る世界各国からの研究成果が集積し、プレシナプスからの神経伝達物質の放出過程に関わる様々なタンパク質がわかってきました。研究をリードしたシェックマン博士・ロスマン博士・スードゥホフ博士が2013年のノーベル医科学生理学賞を受賞したのも、記憶に新しいところです。私たち神経膜分子機能部門では、神経伝達に中心的な役割を果たす「シナプス小胞」に焦点をあて、シナプス小胞がどのように作られ、どのように神経伝達物質を充填し、どのように融合し、融合した後どのようにして再合成されるのかを研究しています。
近年では「シナプトパシー(Synaptopathy)」という言葉が生まれ、自閉症や統合失調症といった精神神経疾患がシナプス機能の異常に起因すると考えられるようになりました。我々は、脳という精密機械が故障して病気になる原因を知り、それを予防・治療する手だてを開発するためには、精密機械の個々のパーツがどのように組み立てられ、各々の役割を果たしているのか理解することが重要だと考えています。また、シナプス小胞は細胞内に存在するリソソームやエンドソームといった細胞内器官と共通した性質を持っていることが多いため、シナプス小胞研究で得られた成果は、より広範囲な生化学や細胞生物学の分野に新しい知見をもたらすことが期待されています。興味をもたれた方は、更にResearchページをご覧ください。
2023.5 吉田知史くんの研究成果が iScience誌に掲載されました。Congrads ! (by. Prof.)
2023.4 中山誠大くんが卒研生として研究を開始しました。Welcome !
2022.1 VGLUTの生理機能に関する総説、シナプス小胞内pH定量に関するBook Chapterが、Frontiers in Cellular Neuroscience
誌、Methods in Molecular Biology "Synaptic Vesicles"にそれぞれ掲載されました。
2022.1 ベルリン分子薬理学研究所Volker Haucke研との共同研究がeLife誌に掲載されました。
2021.8 森靖典准教授(現・山梨大学医)の論文がCommunications Biology誌に掲載されました!
2021.4 河野洋幸さんが助教として着任されました。また、中澤恵太君が当研究科に入学しました。Welcome !
2021.4 森靖典准教授が山梨大学医学部に異動しました。新天地での益々の活躍を期待しています (by Prof.)
2020.12 沖縄科学技術大学院大学・高橋智幸先生、マックスプランク研究所・Reinhard Jahn先生との共同研究が
PNAS誌に掲載されました。
2020.9 Cell Reports誌に掲載された論文がFaculty of 1000で取り上げられました 【Faculty of 1000】
2020.8 生命医科学部堀哲也先生(現・OIST)との共同研究がCell Reports誌に掲載されました。お疲れ様!
2020.4 竹中康一郎君、吉田知史君が大学院1年生に、中澤恵太君が卒研生として研究を開始しました。
2019.9 大野孔靖君が博士(理学)を授与されました。おめでとう!
2019.3 大野孔靖君の研究成果がScientific Reports誌に掲載されました。
2018.10 竹中康一郎君、吉田知史君の来年度の卒研配属が決定しました。Welcome !
2018.10 江頭良明助教の研究成果がScientific Reports誌に掲載されました。Congrads !
2018.8 恒例の夏登山&前期打ち上げ。今年は愛宕山に挑戦しました。How tough it was ! (by Prof.)
2018.1 森靖典准教授のエンドサイトーシスに関する総説がFrontier in Cellular Neuroscience誌に掲載されました。